羽子板の制作の違いについて

(1)押絵羽子板
立体感のある美しい絵柄が魅力の押絵羽子板は、型紙に綿をのせて羽二重の布でくるみ、更に表地で包んで絵柄を立体的に仕上げるという技法で作られたものです。
綿を布でくるんだ50-60の細分化されたピースを組付けて図柄が作られていますので、プレス羽子板や木目込み羽子板とは比較にならないほどの大変な手間と時間を要します。
当然他の種類の羽子板に比べると値段はかなり高額になりますが、仕上がりの美しさの差は一目瞭然です。

(2)プレス羽子板
押絵の代わりに、金襴などの布地を張付けた厚紙をわん曲させたピースを組立て図柄を作り、プレス機で熱を加えて作られたものです。
押絵羽子板に似させた半立体的な形状をしてますが、中は空洞で大量生産が可能なことから値段は安価です。

(3)焼絵羽子板
板の上に焼き鏝で直接絵を描き、彩色した羽子板です。

(4)描絵羽子板
板の上に直接絵を描いたり、プリントした絵を付けた羽子板です。

(5)木目込み羽子板
上半身の姿を型取った立体的なボディに筋彫りをほどこし、そこへ着物の生地を貼り込んで作り上げたものです。
生地の端をボディの筋彫りに目打ちやヘラなどで押し込み、衣装を着ているように仕立ているのが特徴で、この生地の端を筋彫りに押し込む作業を決め込む(木目込む)ということから、その名がついています。
ちなみに木目込みの名が付く羽子板や人形は、ボディの素材に桐材の粉を原料とした桐塑を使用するのが本式とされています。しかし、最近の木目込み羽子板は、「木目込み」という名前こそ付いていますが、ほとんどがウレタン系の樹脂や発泡スチロール製で、その分値段は安くなっています。

弊社の羽子板は、全て桐板の上に押絵細工で作った図柄を取付た押絵羽子板です。

知ってお得な節句人形豆知識

羽子板の種類

ケースは塗ってあるもの(黒塗り艶アリ 艶ナシ 朱塗り等、ピンク塗り等)と木目を生かしたもの(桐、欅、竹、杉、花梨、鉄刀木、紫檀、黒檀、黄金檀等)があります。またバックに本金箔(金澤箔、川俣箔等)を貼ったり本金盛上げ蒔絵をした豪華な仕上げのもの、桜金彩など華やかな絵柄、刺繍、格子をあしらったもの、ケース内に可愛い吊るし飾りを付けたものもございます。
どのケースも、羽子板がより美しく華やかに映えるように考えられています。
また、通常は板ガラスを使用していますが、面取りガラスを使用している羽子板もあります。面取りガラスはガラスが厚いので柱の溝に入れるため隅を薄く削ってあります。ガラスの隅に筋が見えるのはこの為です。
最近では、軽量で割れないアクリルケースも人気です。加工がしやすいので、パノラマ仕様や六角ケースに使われている場合があります。
同じ羽子板でも、セットするケースで印象が変わりますので、同じ羽子板でケース違いのセットを多数ご用意致しております。

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銘木(唐木)ケースの羽子板

唐木という名称は、昔「唐から来た木材」或いは、「唐の工芸品に用いられた」という意味で、当時我が国に入荷した高級家具・工芸品をその頃中国を統治に唐によって統治されていたため「唐の木」唐木と呼ばれていました。
実際に唐木は、熱帯及び亜熱帯地方の一部に産する世界で最も良質の木で、高級家具及び装飾用に適する銘木のことです。唐木の代表的なものには、紫檀・黒檀・鉄刀木がありますが、その材質の良さは硬くて強靭、半永久的な耐久力、油脂感触の出る光沢などにより古くから珍重されています。また、近年材料としての品薄の状態となり、その希少価値も一層高まっています。

黒檀ケースの羽子板(クリックでさくらソレイユ楽天市場店羽子板黒檀ケースへ)


黒檀は世界で最も良質の木とも言われており、正倉院の宝物にも黒檀が見られるほど古来より珍重され、乾燥性があり、虫に喰われにくい事から朽ちることが無いと言われています。材の色は鮮赤色や紫色を帯びた赤色です。重硬で肌色はやや粗いものの耐久性、保存性が非常に高く、磨けば優雅な気品のある独特の光沢が出て美しいです。
羽子板黒檀ケース

鉄刀木ケースの羽子板クリックでさくらソレイユ楽天市場店羽子板鉄刀木ケースへ


美しい斑模様が特徴の唐木三大銘木のひとつです。濃褐色の独特の木目は非常に個性的で、縞模様が細かく入り美しく、材質は堅牢で重厚で、耐久性があります。木材の重くて硬い様が、まるで「鉄の刀のよう」ということから「鉄刀木」の字が当てられています。
羽子板鉄刀木ケース

花梨ケースの羽子板クリックでさくらソレイユ楽天市場店羽子板花梨ケースへ


材の色や鮮赤色や紫色を帯びた赤色です。木目はやや交錯または波状です。重硬で肌目はやや粗いものの耐久性・保存性は高く、磨けば良く光沢が出て美しいです。
羽子板花梨ケース

羽子板のモチーフによる種類

良縁を願う 藤娘

一面に咲き誇る藤の花、花の妖精のように美しい藤娘が、黒い笠に藤の小枝をかざしながら姿をあらわします。やがて恋心のさまざまを踊りつづけます。
日本舞踊や歌舞伎の演目としても有名ですね。
可憐な乙女の象徴的存在です。
羽子板藤娘

末広がり 道成寺

白拍子の花子が、道成寺の鐘供養に来て、寺僧に望まれて釣鐘の前で舞います。はじめは金冠をかぶり中啓をもって荘重に、あとは笠を持ったり、羯鼓を打つなどして華麗に舞い踊ります。
能の世界でも有名な道成寺。満開の桜の下、扇子を持ち気品にあふれて舞う花子の姿には、幸せが広がりますようにという願いがかけられています。
羽子板道成寺

願いが叶う 浅妻

浅妻の里の舟女をモデルにした江戸時代の画家、英一蝶の絵を舞踏化したものです。月夜の海に浮かぶ舟の中で鼓を打ちながら美しい白拍子姿で舞い、愛を語ります。
将来の厄を払い、願いがかないますようにという想いが込められています。
羽子板浅妻

幸せ汲む 汐汲

歌舞伎、日本舞踊で知られる汐汲です。
都に帰っていった在原行平を思い慕う海女の松風。海の水を汲む桶を肩にかけて踊ります。
汐汲は桶を手にしっとりと舞う姿には恋人を慕う乙女心を表してます。
この桶は海の水を汲むものです。海のように広大な幸せを汲めますようにという願いをかけています。
羽子板汐汲

健やかに美しく まり飾り

女の子の初正月を祝う羽子板に添えられる錦糸で彩られた飾り鞠は、ただ華やかさを増すためではなく、丸く健やかに美しく育つようにとの願いが込められています。
そういった願いを込めてまりを手に持つ羽子板もございます。
羽子板まり

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千姫の羽子板

人形のちぐさやは、千姫ゆかりの世界文化遺産姫路城の北東2キロ程にあるイオン姫路店北側交差点にお店があります。
今は建造物等で地上からはお城を見ることは出来ませんが、イオン姫路店の屋上からならお城が眺められます。

姫路城

千姫は徳川2代将軍・秀忠の長女で、7歳で豊臣家に嫁ぎましたが、、大坂夏の陣(1615年)で夫の秀頼と死別。
その後、桑名城主(三重県)の本多忠政の長男忠刻(ただとき)と再婚しました。
17年に忠政が国替えで姫路城主となり、千姫も移ってきました。忠刻の死後は江戸に戻り余生を送ったとされています。

長男幸千代を3歳で亡くした千姫は、元和9年3月、姫路城の西方の男山に天満宮(男山千姫天満宮)を建て、それまで守護神として城内で祀っていた天神木像をここに遷して、城内西の丸長局の廊下から朝夕遥拝しました。
本殿前の絵馬掛けには、可愛らしい羽子板形の絵馬(縦20cm、横10cm)がつり下げられています。
今も、千姫と忠刻のように恋の成就を願う女性たちが奉納しているようです。

天満宮には千姫が、男子出産の祈願や元夫秀頼の鎮魂を祈り奉納したとされる愛蔵の羽子板(非公開)も伝わります。

奉納された羽子板のうち2枚は表に葵紋、裏に桐紋が、他の4枚は表に桐紋、裏に巴紋を配します。いずれも木地に胡粉を盛り上げ箔押しして極彩色したもので、裏には宮中の新春の儀式「左義長」(正月15日、御所清涼殿の庭に青竹などを組み、藁で覆って火を放ち、陰陽師たちが囃しながら、帝の吉書・短冊・扇面などを焼く厄払いの行事)を、表にはそれを見物する貴人たちを描いています。

千姫の羽子板

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羽子板を飾る時期、しまう時期

羽子板の飾る時期

平安時代の頃より、12月13日は「正月事始め」と言われ、お正月に降りてくる年神様・祖霊を迎えるために、様々な準備を始める日とされていました。
「一夜飾り(12/31に飾ること)」や「苦立て(12/29に飾ること)」は忌み嫌われますのでこれらの日は避けて羽子板を飾ります。
お子様の初正月をお迎えするためには、12月中旬頃には羽子板をお飾り頂くことをおすすめいたします。

羽子板をしまう時期

羽子板をしまうのは、1月15日頃がよいでしょう。それはちょうどこの頃、お正月飾り(注連縄や松飾、書初め、羽根を突いて壊れた羽子板など)を焼くを焼く左義長(さぎちょう・どんど焼きのこと)の行事が行われるからです。
江戸時代には、宮中の左義長風景を描いた極彩色の左義長羽子板というものがありました。これは、このお正月行事と羽子板との密接な関係を物語っているものといえるでしょう。

初正月の場合は、12月中旬頃から正月の月である1月下旬まで長く飾られてても良いでしょう。
お子様の無病息災、魔除けを祈る縁起物ですので、一年中飾っておくのも良いでしょう。
しまわれた場合も、雛人形の時期には脇飾りとして一緒に飾ると、より華やかにお祝いが出来ます。

風習やしきたりは、地域により異なりますので、お住まいの地域の風習にあわせて飾って下さい。

初正月とは

赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月を「初正月」といいます。
わが国では古くからこの初正月を祝って、赤ちゃんの祖父母や、おじやおば、仲人、親しい友人などが、女の子には羽子板を贈るという美しい習慣があります。

羽子板を飾る時期、片づける時期

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羽子板の由来

羽子板と羽根

羽子板は、中国から羽根つきのもととなる遊びが伝来し、日本でははじめ単なる遊びの一つでしたが、戦国時代から羽根つきには厄払いの効果があると考えられるようになったとされています。

羽根の飛ぶ様がトンボに似ていることからトンボが子供の病気の原因となる蚊を食べてくれるようにと祈り、トンボにみたてた羽を打つ羽つきとして広まっていったのです。

また、羽根突きの玉には「ムクロジ」という木の実が使われます。ムクロジは「無患子」と書き、「子供が患わない」ようにと意味が含まれています。こうして羽子板には遠い昔から子供の無事を願う温かい親心が込められています。

室町時代に羽根つき用と飾り用に分かれ、江戸中期に金箔、銀箔などで花鳥や福の神が描かれた押絵羽子板が作られるようになり、江戸末期には歌舞伎役者の似顔絵つきの押絵羽子板が作られるようになりました。

江戸時代には女児の誕生に羽子板を贈る習慣が盛んになりました。これは生まれた子供が邪気をはね(羽根)のけ、福徳豊かにすこやかに成人するようにという願いを、優雅で華麗な装飾を施した羽子板に託したのだといいます。

また縁起の良い末広がりの形である事から景気をはね(羽根)上げると伝えられる羽子板は、家内安全・商売繁盛のお守りとして飾られています。

諸々の邪気をはね(羽根)除けて、健やかに育つようにとの願いが込められている羽子板。
これからも末永く飾っていただきたい、由緒ある日本の伝統の工芸品です。

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